三人のグループチャットに、麻衣から写真が届いた。
小さな喫茶店で、由美が大きなパフェを前に笑っている。『昨日はありがとう。また行こう』と続いていた。
三人で何度も行こうと話していた店だった。自分だけ誘われなかった。
『いいな、楽しそう』と返信し、笑顔のスタンプを押した。画面を閉じると、胸のあたりだけが取り残された。次に三人で会ったとき、自分には分からない話がまた一つ増えている。
写真の外側へ過去まで並び始めた
一枚の写真を見たあと、以前の会話が次々に気になった。二人だけが知っていた曲。待ち合わせ前から続いていた話。自分が席を外したときに交わされた目配せ。
最初から自分は余った一人だったのかもしれない。そう考えると、ばらばらだった記憶が仲間外れの証拠として並んだ。
その夜、確かに分かっていたのは三つだった。昨日、二人が会った。事前に自分への連絡はなかった。写真を見て寂しかった。
二人が自分を避けたのか、たまたま予定が合ったのかは、まだ聞いていない。分からない部分を最も傷つく物語で埋めると、次に傷つく準備はできる。その代わり、残っている関係へ近づく道も閉じそうだった。
三人をつなぐ係を降りたら何が残るのか
三人の予定を決めるのは、いつも自分だった。日程を聞き、店を予約し、会話が止まれば次の話題を出した。
二人だけで会えていたと知り、役目がなくても二人は困らないのだと思った。自分は友人として誘われていたのか、幹事として必要だったのか分からなくなった。
本当は、たまには誰かから『会おう』と言ってほしかった。黙っている日にも同じ席にいたかった。外された痛みの中には、何もしなくても友人でいたいという願いがあった。
その願いをかなえるために、二人が会うことを禁止するわけにはいかない。けれど、自分の寂しさまでグループの平和のために隠すと、次の予定を立てる指が動かなかった。
一人へ事実と気持ちを送った
翌日、由美へ個別にメッセージを書いた。
『昨日、二人であの店へ行った写真を見たよ。誘われなかったことより、知らない話が増えていく感じがして寂しかった』
見た事実と寂しかった気持ちを分けて一人へ伝える。『どうして外したの』とは書かなかった。二人で会わないでほしいとも頼まなかった。
由美から返事が来たのは夜だった。仕事で近くへ行き、麻衣へ急に連絡したらしい。転職の相談があり、二人で話したかったこともあったと書かれていた。
事情を聞いても、寂しさはすぐ消えなかった。三人で行こうと言っていた店だったこと、事後に写真だけ届いたことは残っている。由美も『そこまで考えてなかった。ごめん』と答えた。
相手に悪意がなかったと分かることと、自分が傷つかなかったことは同じではない。二人はその夜、どちらも言い分を完成させずにやり取りを終えた。
三等分では測れない関係へ戻る
一週間後、由美と二人で昼ごはんを食べた。三人でいるときには聞かなかった、由美の転職への迷いを聞いた。自分も最近、三人をつなぐ役に疲れていたことを話した。
麻衣とは、別の日に本屋へ行った。麻衣は長い相談より、同じ棚を眺めている時間を好む人だった。由美と自分、麻衣と自分、由美と麻衣。それぞれに話せることと、話さないことがあった。
三人がいつも同じ距離でいる形には戻らなかった。次の集まりも、自分から日程を決めなかった。しばらくして麻衣が『来月どう?』とチャットへ送った。
二人で会う写真を見れば、また寂しくなるかもしれない。その感情があるからといって、面倒な友人と決まるわけではない。関係の変化を惜しみ、今の自分がどこにいたいかを考えている。
三人の均衡ではなく、一人ずつとの今の関係を見直す。そこには、以前より近くなる人も、少し離れる人もいる。
次の喫茶店で、三人とも知らない話を持ってきた。すべてを共有していなくても、同じテーブルに座れる時間は残っていた。
本文中の人物や出来事は、テーマを伝えるために構成したフィクションです。
WORDS LEFT HERE
この記事を読んで、心に残ったこと
答えや助言でなくても大丈夫です。 あなたの言葉は確認後、こよりがそっと届けます。